ジャーナリストの盗用事件
ニューヨーク・タイムスの元エディターのジル・エイブラムソンが発表した本「Merchants of Truth」(真実の証人)に、多数の間違いや盗用が見つかって大騒ぎになっている。まだ私も手にしていないのだが、特にViceについて書かれたところが問題になっている。最初は、対抗姿勢だったアブラモソンだが、そのあと声明を発表して、まわりくどい表現で過ちを認め、修正する意向を示した。
日本でも、「日本国記」のコピペが話題になり、いや、それはやったらダメだろ、というのが大方の反応だと思うが、アメリカで、しかもタイムズの元エディターがこういうことをやると、心底がっかりである。「やったらダメ」のハードルがアメリカでも下がっているのか。
こういうことでわかったのは、自分の本を人に書かせる人が多いということである。私のような、小粒の人間には、そういう人を雇う余裕はないし、考えたこともなかったが、まじか!という気持ちである。
ニューヨーク・タイムズのコラムニスト、チャールズMブロウのツイートが、すとんと落ちた。「盗用が理解できない。引用句は無料だ」。そうなんですよ、ソースを明らかにするのは、手間はかかるけれど、無料である。盗用はやる人が損をするだけなんだよなあ。
もう一点この過程でわかったのは、ジル・エイブラムソンが取材を録音しないということ。プロモ記事で、胸を張って録音しないと自慢している。自慢するようなことなのか。そんな恐ろしいこと、私には絶対できない。
Yumiko Sakuma