DiaryYumiko Sakuma

ニューヨークをペテンにかけたニセ・セレブ事件、その後

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ニューヨークをペテンにかけたニセ・セレブ事件、その後

ここしばらく終日拘束の仕事をしていたのと、そのさなかに「みんなウェルカム」を幻冬舎plusから引き上げることを決めて、それをnoteに書いたら想像以上のことになってしまったりで、日記が更新できてなかった。その間、サイトに来てくれてたみなさんごめんなさい。

そういえば去年、My Little New York Timesに、6000万ユーロを相続したドイツ人のフリをして、ニセニューヨークの富裕層や高級ホテルやセレブをペテンにかけたロシア人女子アナ・ソロキンのストーリーを書いた。そして最近、彼女に4〜12年の有罪判決が下った。

この話がすごいのは、パープル・マガジンのインターンという立場から社交シーンでコネを次々と作り、無銭宿泊やたかりを繰り返してその被害総額が20万ドルになった、ということだけではなく、アート基金をやるという計画を熟練の大人たちに持ちかけて、2500万ドルの融資を受けるスレスレのところまでいったというところだ。そして証言こそしなかったものの、騙された人リストには、不動産王のエイビー・ローゼンや、ホテル王のアンドレ・バラージュなんかも入っているわけである。相当の度胸である。

ニューヨーク・タイムズが獄中インタビューをしているのだが、そこでも平然と嘘をついたり、「I’m not sorry」、「I am a bad person」、「チャンスがあったらもう一回やる」などと言ったりしていて、心証をよくしようなどという考えはまったくないようだ。その心理がまったく理解できない分、野次馬としては「もっと知りたい」と思ってしまうところがある。ちなみに彼女は司法取引を拒絶して陪審員裁判を選択したことで、オファーされたより長い刑期をくらったがめげていないらしい。

このストーリーについ夢中になってしまうのはもちろん私だけではない。アナ本人も本を執筆中だし、騙された元ベスティ(バニティ・フェアの元フォトエディター)も本を書いていて、HBOとネットフリックスでドラマ化が進行中だという。

備忘録:ニューヨークの富裕層を騙したニセ相続人「I’m not sorry」(The New York Times)