出会い系アプリ事情2019
最近知り合った人に、Tinderの日本での立ち上げに関わったアメリカ人がいて、「いろいろきれいな言い方をしたけれど、やっぱり結局Tinderはやりアプリ化しちゃったよね」というオフレコ発言を聞いた。会社としての考えはともかく、やっぱり人間は猿なので、よっぽど婚活に特化したものでなければ、やりアプリ化するのはある意味当然なのだろう。悪いのはテクノロジーではない、使う人間なのである。
改めてアメリカの出会い系サイト・アプリの歴史を振り返ってみると、Match.comができたのが1995年。OkCupidが登場したのが2004年。Tinderがアプリとしてデビューしたのが2015年。完全に肌感覚で言わせてもらうと、OkCupidが登場したくらいまで、出会いアプリというものは、現実世界で出会いを見つけられない人のためのもの、というイメージがあったけれど、Tinderがその心理的障壁を取りさらい、シングル人口なら誰もが参加するくらい当たり前のものになって、今も、どんどん新しいアプリが登場するのだが、出会い市場は希薄化したために、なんだかイージーになりすぎて、最近は、だんだん話題にもならなくなった。たまに「やっている」という人の話を聞いても、「実際に、マッチした人と待ち合わせをすることもずいぶん少なくなった」という声が優勢だ。
そんななか、Tinder のアルゴリズムを分析する、という記事を見た。かなりマニアックに分析している記事なのだが、出会い系を利用することの心理的障害がなくなっていることを示す世論調査、そして一方で、実際にアプリで出会って恋人関係になったり、結婚したりする人の確率がわずか5%という衝撃的というか、当たり前というかの数字を紹介していて、現代のロマンスの難しさを実感させる内容になっていた。それにしてもTinderを使っている世界の人口は5700万人。出会い系アプリが人類のロマンスに及ぼす長期的な影響はどんなもんなのだろうか。