感情労働について
坂本龍一さんのショー「Life, Life」を見るために2泊でソウルに来た。英語新聞で「Emotional Workers(感情労働者)のためのセンターができる」というニュースを見た。
恥ずかしながらEmotional Workers(感情労働者)、 Emotional Labor(感情労働)という言葉を知らなかった。肉体労働、頭脳労働といった概念に並ぶ、感情を押し殺して笑顔で接客することが求められる職種のことを指すという。カストマー・サービス、キャビン・アテンダント、看護師・看護婦といった職業が当てはまる。
いつも笑顔でニコニコしなければいけない職業の人たちだって人間である、ということを人は忘れがちである。こういう職種の人たちにイライラをぶつけたり、横柄な口を効く人たちは、きっと私たちが思うよりいるに違いない。しかも日本には「お客様は神様です」というカルチャーがある。よっぽどのことがなければ言い返せない。彼女たち・彼らのメンタルヘルスのケアを引き受けるメソッドや場所が必要になっているのだろう。
私のような職業の人間にさえも「自分は客だ」という態度で、びっくりするような口調のメールが届くことがある。相手が人間であるということを忘れてしまうのだろうと思う。メールやネットだと、リアル社会での知り合いや家族には使わない言葉や作法を使う人がいる。カストマーサービス系もきっとそういうジャンルに入ってしまうのだろう。どこかの会社のソーシャル・メディア・トレーニングで、「実世界で使わない(使えない)言葉は使わないように」ってやつがあったのを思い出した。
Yumiko Sakuma