82年生まれ、キム・ジヨン
話題作「82年生まれ、キム・ジヨン」読了。自分より9年あとに、韓国で生まれた女性の物語を追いながら、女性に生まれるということは、どこにいても、少しずついろんなことを諦めることなのだった、と思い出しながら。自分は「選択」をしてこの人生を歩んできたつもりでも、どこかでその道を取る前に、諦めたことがあるのかもしれないと。そして今、私たちは「諦めなくてもいいのではないか」「諦めなくていい社会をつくりたい」という気持ちを共有しながら時代を生きている。働く女性にも、働かない道を選んだ(選ばざるをえなかった女性)にもきっと共鳴する部分は多いだろうし、何より男性にも読んでほしい。
ひどいレビューを読んで悲しくなった。どうして女性たちが今まで体験してきたことを書くことが、男性攻撃と受け止められるのだろうか。どうしてこの物語にそこまで腹を立てる人たちがいるのだろうか。
陳腐な言葉になってしまうけれど、自分も「みんなウェルカム」という連載を始めて、人の見方の多様性を学んだ。私が書くことに、腹を立てる人たちがいるのだ。人の見方が千差万別であることは理解したい。理解できる、と思う。そして、その見方が、それぞれの人生の物語を反映しているのだということも。
備忘録:「82年生まれ、キム・ジヨン」を読んだ 日本での大ヒットに感じたほのかな希望(The Asahi Shimbun Globe)
Yumiko Sakuma