DiaryYumiko Sakuma

アサンジはヒーローか、悪者か

DiaryYumiko Sakuma
アサンジはヒーローか、悪者か

ジュリアン・アサンジが逮捕された。7年間、一度も離れずに籠城していたロンドンのエクアドル大使館から引きずりだされる姿がネットに流れた。

ジュリアン・アサンジは、かつて情報開示をすべからくよいことと考える人たちにとってヒーローだった。どう考えれば良いのかわからない、という人も多かったと思う。政府の機密を入手して、ネットにそのまま開示する。

チェルシー・マニングが入手した大量の文書がウィキリークに吐き出されて、アメリカの国務省は恥をかいた。とはいえ、ここに違法性はあるのだろうか。オバマ政権は、一度、アサンジのやっていることを、「報道の自由」として、しょうがない、として放置することに決めた。とはいえ、ヒラリー・クリントンは、アサンジのやっていることが、外交官や諜報に携わる人たちを危機に晒すものだとして非難した。

そこからアサンジは、ヒラリー・クリントンを引きずりおろすほうにまわることをTwitterで宣言した。ロシアとの共謀があったのかなかったのかは今のところ謎であるとはいえ、選挙の真っ最中に、DNC(民主党委員会)のメールを大量に公開したことが、ヒラリー・クリントン陣営にダメージを与えた。

今、アサンジについての世論は割れている。アサンジはヒーローで、彼の逮捕は、ジャーナリズムの独立性を脅かすものだという人たちがいる。アサンジのことは嫌いだけれど、原則的に逮捕には反対という意見もある。アサンジは、かつては正義感をもってやっていたが、途中から個人的な恨みに動かされるようになった悪者であるという意見もあれば、未成年に性的暴行をした疑いのあるろくでなしだという意見もある。

おまけに7年間、彼をホストしてきたエクアドル大使館が、アサンジの行状をバラし始めた。猫の世話をしなかったとか、大使館の中をスケートボードで走り回ったとか、汚物を壁に塗りたくったとか、子供かよっていうレベルの話が出てくる。

少なくとも今のところ、最初は正しいモチベーションに動かされたはずのアサンジが、自分のエゴと私怨のために道を踏み外してしまい、ついに罰されるときがきた、というように見える。けれど、それと違法性はまったく別の問題で、あとは法廷が決める問題なんだろう。

備忘録:ジュリアン・アサンジはどうやって憲法修正第一条項のヒーローから党派的存在に見えるようになったか(The Washington Post)