インフルエンサー狂騒曲
政治的に相変わらずギスギスした状況が続いているので、無意識にくだらない話題を探していたら、小一時間夢中になれる最適なくだらない話を発見した。
ケンブリッジに留学してイギリス人男子との恋愛をInstagramに逐一報告することで「インフルエンサー」と呼ばれるようになったアメリカ人のキャロライン・キャロウェイというインスタグラマーが、参加費165ドルのワークショップ・ツアーを企画し、いろんな約束をしてチケットを売ったはいいが、イベント運営の経験がまったくないために大惨事に陥り、かつ無給のフォトグラファーを募集したりしたもんだからSNSで大叩きにあい、一度は謝罪してツアーをキャンセルすると発表したものの、「やっぱりやる」と宣言して、ツアーを再開したというすったもんだである。そもそもこの彼女、インスタでの私小説がヒットしたことで30万ドルのブック・ディールを手にしたのに、結局書けなくて契約を破棄し、10万ドルの借金を背負った(このあたりの金額は媒体によってまちまち)というから、もともと面の皮は厚いタイプだが、今回もツアー再開に際し、自分に対して批判キャンペーンを貼ったライターの名前をT シャツにプリントしたり、FYRE FESTIVAL(高額のチケットを売って詐欺と認定されたフェス)をハッシュタグにしたり、わざわざガソリンを投下している。
それにしてもなあ。インフルエンサー、という言葉を口にしながら人が上を見上げて白目を出す時代である。リアルの世界で実績を残せない人は影響力を及ぼす力を失っていく。影響力のないインフルエンサーほど陳腐なものはない。こうやってどんどんインフルエンサーという言葉の価値が下がっていくのだな。
備忘録:キャロライン・キャロウェイによる165ドルのクリエイティビティ・セミナーに行ってきた。あなたが行かなくてもいいように(New York Magazine)