DiaryYumiko Sakuma

バラガン邸で

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バラガン邸で

ルイス・バラガン邸に行った。(写真はちっちこと越智康貴さん)

土地の土着の文化を反映し、温かみを持ったモダニズム建築の名作として、ずっと生きたかった場所だ。

それはそれは美しい家だ。自然光の入り方なんて神業だし、置いてあるアートや家具にいちいち興奮する。でも、バラガン氏がどういう生活を送っていたかを聞きながら、そんな家を歩いていたら・・・寂しくなった。

ふたつの客間があって、「仲の浅い人」「長い知り合い」で分けていたという。一人で食事をする部屋があって、そこに「孤独」と文字の入ったお皿が置いてあった。そして、家のありとあらゆる場所に十字架があり、キリスト教リファレンスがある。これでもか、これでもかと宗教の圧迫を感じるのだ。

圧迫、と思ったのは、そのツアーの最中に、バラガン氏はゲイだったと聞いたことと関係があるかもしれない。あとで調べてみたら、はっきりとはわからないようだ。

この世に存在する最悪の地獄的シナリオのひとつに、信仰心を持ちながらゲイ、というやつがある。バラガン氏が、ゲイでありながら、宗教のシンボルに囲まれて生きることを選択していたのだとしたら、想像しただけで苦しくなる。

備忘録:現代の建築家にルイス・バラガンのような建物は建てられない(DeZeen)