DiaryYumiko Sakuma

多様性と経済的合理性

DiaryYumiko Sakuma
多様性と経済的合理性

MASHING UPというカンファレンスの壇上で、ヤフー株式会社SR(Social Responsibility)推進統括本部の責任者西田修一さんに質問をした。

Yahoo! JAPANは、この秋、IDの取得するときに選ぶ性別を「男性」「女性」以外に「その他」「回答しない」の二者択一ではない選択肢を設けた。それを実現するために、実際やった、社内外での当事者(LGBTQ+)にヒアリングをしたり、社内での調整をしたり、というプラクティカルな作業の裏話をしていただいた。この「移行」は、過去にも何度も課題として上がりながら、たびたび頓挫してきたことだという。そもそも、ID登録時に性別を選ぶのは、ユーザーのデータを取るため。その選択肢が二つしかなかったのは、その仕組みができた時代には、まだ性の多様性が理解されていなかったから。そしてこういうことを企業が変えるためには、経済的合理性の問題が立ちはだかる。社内の調整のために、具体的な試算を示して「選択肢を増やしても、マイナスがない」と説得したという西田さん。ちなみに「データを取るため」という当初の理由だが、今の時代、性別を選ばなくても、十分なデータは取れるという。性別選択は、ほとんど答え合わせのために存在しているのだ。

仕組みを変えるって大変だなあ。話を聞いていて、社会の進歩の裏で、多くの人たちが現実的な課題解決をしているのだなということを実感した。そして今回のカンファレンスに参加している人たちは、それぞれの現場で具体的にそういう努力に参画している人たちばかりだった。きっとそれぞれが、それぞれの持場に戻って、またその努力を続けていくのだろう。

ちなみに主催者サイトの事前告知ポストを、西田さん御本人がFBでシェアしていて、その文章が素敵だった。

引用:

「あなた」や「わたし」がどのカテゴリーに属する人なのかという認知の枠から解放されて、「あなた」は「あなた」であり、「わたし」は「わたし」であるという世界になるといいな。そこで初めて「わたし」は「わたし」になれるのかもしれない。

ちなみに、今日、話したことのひとつに、たとえば組織を相手に、CSR系の課題解決を説得するときに、「それが正しいのだ」と主張するより、経済的合理性(「儲かりまっせ」)と主張したほうが圧倒的に通りやすいという話題があった。そうなのだ。ウーマンリブから環境問題まで、アメリカでも何かが進むときには、その裏には必ず経済的合理性がある気がする。

備忘録:企業の多様性が利益拡大につながるより多くの証拠(Forbes Blog)

#性別選択