Yumiko Sakuma

白人ナショナリズムの心理学

Yumiko Sakuma
白人ナショナリズムの心理学

インディアナのファーマーズ・マーケットで、ブースを出していたオーガニック・ファームのカップルが、実は白人ナショナリズム団体とつながっているかもしれないことがわかり、ひと悶着起きている、という記事を読んだ。

この記事を読んだときの暗澹たる気持ち、どう説明すれば良いだろうか。

まずひとつに、この記事を読むまでは、ファーマーズ・マーケットのような場所にいる人たちはプログレッシブであろう、というナイーブな仮説のもとに自分が生きてきたことに気がついた。そして、もはやその希望的観測をもっては生きられないのだ、という悲しい事実。さよなら、ナイーブな自分。だからってシニカルに生きたいわけじゃないんだけどなあ。

とりあえず、白人ナショナリズムにシンパシーを持ったり、支持したりする人が、相当数いることは確かである。白人ナショナリズムとは、白人至上主義の言い方をソフトにしたバージョンである。白人が文明を築いたのである、白人はプライドを持つべきだ、白人の権利が守られていない、そういうやつだ。マイノリティに対して攻撃的でないだけで、言っていることは至上主義とあまり変わらない。が、自分たちのアイデンティティを強化して何が悪いのだ、と考える人もいるのだろう。

自分が日本人に生まれたのは、単にめぐり合わせだが、かなりラッキーな札を引いたと思う。そこそこ安全で、平和で、食べ物のある場所に生まれたのである。私が生まれた環境より優れた環境に生まれた人もゴマンといるだろうし、そうでない人はもっといるだろう。めっちゃ感謝している。ご先祖さまにもめっちゃ感謝している。だけど、日本人に生まれたことは、偶然であり、自分が達成したことではないのだ。だから、ナショナリズムというものが私にはわからない。

白人が文明を築いたのだ、と言ったところで、自分が築いたわけではなかろう。なんでそこにプライドが必要なんだ?と思ってしまう。そこまで書いて気がついた。きっとこういう考えに傾倒してしまう人も、なにか隙間を埋めようとしているのかもしれない。となると、ナショナリズムの台頭は、現代人が孤独だという事象と大いにリンクしているのだろう。

備忘録:なぜ人は白人ナショナリストになるのか(BusinesInsider)

ヘイトの裏の心理学、白人至上主義に走らせるのはなにか(LiveScience)