バンコクで歯科観光について知る
バンコク3日目。私を呼んだJPがビザ問題に対処するために大使館に行かなければならなくなったので、ホテルの部屋で仕事をしようかと思っていると、別のミュージシャン男子Rから「昼飯食った?」と連絡があった。ランチを済ませ、彼のスタジオで、今、レコーディング中というアルバムを聴かせてもらっていると、そこにどかどかと人がやってきて、楽しいミュージック・セッションが始まった。楽しいなあ、と思いながら、コンピュータを開いて自分の作業をしていると、おや、なんだか歯茎が腫れてきた。
そこから猛烈な痛みが始まるまでに2時間もかからなかったと思う。そういえば、先日、東京で歯医者に「もしかして飛行機に乗ると痛み始めるかもしれない」と言われ、処方箋までもらっていたのに、ついうっかり薬をもらうのを忘れていた。ばかばか、自分。「ねえねえ、バンコクで歯医者行ったことある?」とアメリカ人であるRに聞くと、「あるある、親切だし、腕もいいよ」と歯医者を教えてくれた。金曜日の午後4時。若干心配しながら電話をすると「英語をご希望の方は」とアナウンスに従ってダイヤルを押すと、あっさり予約が取れた。「現金、用意したほうがいいのかな?」と聞くと「クレジットカード使えるぜ」とあっさり。
行った歯医者はトンローにある高級風の歯医者である。やたら美人の若い女性が何人もいる受付を通り、これまた美人の女性歯科医に会って、あっという間に治療が始まった。設備は最新、なんだかピカピカしている。治療はあっさり終わって、払ったお金は数千円程度。「3ヶ月に1度、バンコクに来られるんだったら、すべて直しますよ」とのセールスまで受けた。
アメリカは歯医者が高い。とにかく高い。だから、よっぽど緊急のことがない限り、日本にいるときに治療を受ける。それでもまめではないし、痛くなってから行くというやり方でやってきたので、いろいろな問題が生じるようになってきた。ちょうど、たくさん直さないといけない場所を指摘され、日本でもけっこうな値段になるなあと思っていた矢先である。うーむ、考えちゃうな。「無保険なのに安くてびっくりした」とGに言うと、「オレなんて、神経治療のためにニューヨークからわざわざ来たことあるぜ。飛行機代入れてもお釣りがきた」という。
アメリカで高いのは歯医者だけではない。一般の医療も高い。毎月の健康保険料を600ドルも払っているのに、病院にいくと、さらに自己負担がある。ドブに捨てているようなものだ、とずっと思っていたが、大怪我をしたときにそれで救われたので、やっぱり払っている。
そんなアメリカでは、医療(歯科)観光という概念がある。医療の安い場所に行って、治療を受けるということである。歯科治療を受ける人も多いようである。