DiaryYumiko Sakuma

日本人のホワイトウォッシュ

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日本人のホワイトウォッシュ

最近知ってクラクラしたことがふたつについてずっと考えている。日清食品のCMで大坂なおみさんが描かれたはずのキャラがなぜか白人になっていたこと。そして「クレイジー・リッチ・エイジアンズ」の邦題が「クレイジー・リッチ」になり、ビジュアルの主役二人の写真の肌が何段階か白く補正されていたこと。後者については迂闊ながらまったく気がついていなかったのだが、堂本かおるさんのツイートを目にして遅れて気がついた。大坂なおみさんの件では「ホワイトウォッシュ」という言葉が使われていた。事実をよく塗り替えることや文字通り「白化」することを指す言葉である。日本人は白化したいのか。

ネットを徘徊してみたが、後者のほうはあまり話題になっていなかったようだ。堂本さんはWezzyの記事の中で「アメリカとハリウッドにおけるアジア系の過去・現在・未来を蔑ろにする、許しがたい改変だ」と書いているが完全に合意である。英語媒体でも日本で「エイジアンズ」が取られたことはほとんど話題になっていない。ひとつ見つけたVarietyの記事では、堂本さんのコメントが紹介されていた。「Those born as Japanese in this country do not need to think of themselves as ‘Asian’ and are not in the position of a racial minority」(日本で生まれた日本人は、自分たちをアジア人とみなす必要もなく、人種的なマイノリティではない)。

私も日清食品の件をみて、そのことを考えていた。その意図はないと日清のPRは弁明したようだけれど、大阪なおみさんを白人として描くことが、「自分たちを白人として捉えている」と受け止められても仕方がない。意識的に「私たち白人」と思っていなかったとしても、自分たちが人種マジョリティな場所でマジョリティな気持ちになる人がいてもまったく不思議ではない。世界に出てみれば、それがどんなに滑稽なことか、すぐにわかると思うけれど。世界を知らなくても成立してしまう。島国の恐ろしいところである。

ちなみにwhitewash, japan で検索をかけると、大阪なおみさんの件、クレージー・リッチの件に加えて、日本政府と安倍首相の「ホワイトウォッシュ」関連記事ばかりが並びます。こっちは事実を塗り替えるほうの使い方ですね。

備忘録:日本における歴史のホワイトウォッシュ(The New York Times)