男たちへ
前日に公聴会で、レイプ未遂の被害者が「信用性の高い」証言をしたにもかかわらず、ブレット・カバノーを最高裁判事として承認するための第一段階となる上院司法委員会での投票は可決されるだろうと思われていて、いよいよこんな国にいつまで住み続けていいものか、真剣に考え始めていた。ところが、夕方、賛成票を投じる意向を示していたアリゾナ州のフレイク上院議員が、FBIのさらなる捜査を呼びかける、というどんでん返しが起きた。トランプを厳しく批判する本を書き、上院からの引退を発表している人である。 この日、エレベーターに乗り込もうとするフレイクに、性的暴行の被害者女性二人が涙ながらに自分たちの体験を訴えるビデオが拡散した。この事件が彼の決断に影響を及ぼしたかはわからないけれど、事後のインタビューで、親い友人たちから、それまで知らなかった清適犯罪の被害を打ち明けられたことを明らかにした。「I had no ide」という言葉が印象に残った。
近い男性たちとこの問題について話して思うのは、こういうエグい問題に無縁の男性たちが思うよりずっと多い頻度で性的犯罪は起きている、ということである。多くの女性が、多かれ少なかれなんらかに被害にあっているのである。 そして多くの場合、被害届も出していないし、話もせずに、独りでトラウマに向き合っている。私自身だって、そういう経験はあまり話したくないし、いまだに書けない。ただ切実に、男性たちには、そういう現実をわかってほしいと思うのだけれど、みんなが語らなければ伝わらないのも事実なんだろう。
Yumiko Sakuma