DiaryYumiko Sakuma

トランプ効果

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トランプ効果

テニスのセリーナ・ウィリアムズと大坂なおみさんの決勝の件は、あまりにテニスを知らないので語らないつもりでいたが、その余波で登場した例のカトゥーンを見て吐きそうになった。

山でのディナーでその話題になった。隣人は、わざわざブレイタバート(極右のニュースサイト)までコメントを見に行ったという。勇気のあるやっちゃ。「ろくろくちゃんとスペルも書けないようなやつらが、『大金を稼いでいる』アスリートのことを忌み嫌っている。黒人が稼ぐことがよっぽど腹に据えかねるみたいだ」。

アメリカに来てからの20年の間で、今ほど人種差別というものが、堂々とまかり通っている時代はなかったと思う。きっと水面下にはいつもあったに違いない。昔ならどこか田舎の小さな家でくすぶっていたはずのヘイトが、インターネットのおかげで仲間を見つけあい、それを吐き出すプラットフォームを見つけてしまった。そして、彼らとはケタの違う額を稼ぐ彼らが、全米の警察から酷い扱いを受ける同胞たちのために声を上げたことに腹を立てている。セリーナ・ウィリアムズが感情をむき出しに、男の審判に楯突いたことを受け入れられないでいる。黙ってスポーツだけやってればいいのだ、というかのように。精神的な奴隷制が終わっていないと思うのはこういうときだ。

そしてこの手のヘイトは、こういう山のなかにも潜んでいる。マイノリティのいないスーパーで、アジア人自分が視線を集めているのを感じることがある。そういえば、今日インターネットを直しにきてくれた白人のおじさんは、私がアジア人であることについて何か思っただろうか、などと考えている自分に気がついてゾクッとした。こういうパラノイアを持たせてしまうところがヘイトの怖いところだ。これもトランプ効果ってやつのひとつだ。

備忘録:トランプ効果(The Washington Post)