女たちの選挙
朝起きて投票所を見に行った。大雨の中、見たことのないような列が並んでいた。昼過ぎの飛行機でウィスコンシンに行った。今年の中間選挙はキャロラインと見たいと思っていたから。
キャロラインは私の友達の政治的な人たちの中でもかなり政治的で、2017年のウィメンズ・マーチも一緒にワシントンDCまで行って歩いた。シングルマザーになって、育ったウィスコンシンに帰った。キャロラインのママも、おばあちゃんもいつも政治運動をしている。家にオバマの写真集がある、そんな一家である。おばあちゃんは高齢のため、DCのマーチには来られなかったけれど、マーチの朝、キャロラインとママが電話で「おばあちゃんの分も歩いてくるからね!」と言っていた。キャロラインの暮らすミルウォーキーは飛行機で3時間弱。あっという間の距離である。キャロラインのおばあちゃんと選挙を見るなんて、と自分の思いつきにワクワクした。
というわけで、チャイニーズをテイクアウトし、おばあちゃんの家のリビングルームで、女4世代(おばあちゃん、母、キャロライン、娘)とともに選挙を見た。途中、長い列のできているジョージアの投票所にピザを贈ろう!というキャンペーンにお金を寄付したりしていたキャロラインのママが「あのシャンパン開けることになるかしらねえ」と言う。2016年に女性大統領の誕生を祝おうと買っておいたのに、ヒラリーが負けたからそのままになっていたのだ。中間選挙は、上院の議席の一部と下院、そして知事選が行われるから、勝利か敗北かがそこまで明白じゃない。19時すぎから開票の結果がじわじわと出て、下院で次から次へと女性たちが現職を引きずり下ろすのを見て、結局、シャンパンは開けられることになった。
個人的には、悔しいことと喜びの入り混じった選挙結果になった。世紀の悪者たち(テキサスのテッド・クルーズ上院議員、アイオワのスティーブ・キング下院議員)を引きずり下ろすということは僅差でかなわなかったけれど、あのテキサスの地で民主党候補があれだけ票を得たことが希望の種だし、フロリダとジョージアは今の様子では再集計か決勝戦になりそうである。史上初のネイティブ・アメリカンの下院議員、初のゲイ知事、初のイスラム教徒女性の下院議員、女性最年少の下院議員(アレクサンドリア・オカシオ・コルテス)、初のレズビアン市長が生まれ、数々の宗教右派の白人男性下院議員が葬りさられた。フロリダでは、前科を持つ市民が投票権を取り戻すことを困難にし、多くのマイノリティから投票権を奪っていた修正条項4条が撤廃されることになった。明るい材料は尽きない。何より、前回の大統領選挙を見て、政治に参画することを決めた女性たちが多数勝った。未来は暗くない。これから2年間、どんなゴタゴタが待っていたとしても。
大方のコンセンサスは「ブルーウェーブは起きなかったけれど、パープルの水たまりができた」ということになっているらしい。そして早速、今後に向けて、これでトランプ大統領に対する弾劾の手続きが始まるのか、テキサスの上院議員選挙に破れたものの、保守派の票をとれることを証明したベト・オルークは大統領選に名乗りを上げるのか、ロバート・ムラーのロシア大統領選挙関与疑惑の捜査に影響は出るのか、話題でもちきりである。
とりあえず2年間放置されていたシャンパンは美味しかった。
備忘録:2018年の選挙結果 ブルーウェーブは忘れてパープルの水玉に備えよ(USA Today)
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