ファレルのフェスに行ってきた
ファレル・ウィリアムスが、地元バージニア・ビーチで、<Something in the water>という名のフェスを初開催するというので、Sony クリエイティブセンターの依頼を受けて様子を見に行った。
バージニア・ビーチは、軍や政府関係者が多数暮らすビーチタウンで、寂れた観光地でもある。ファレルが地元の街おこしとして企画したという。海沿いに特設された巨大ステージでパフォーマンスするラインアップには、ヒップホップを中心に(でもそれに限らず)往年のスターから若手の注目株までを集めた豪華な名前がずらりと並んでおり、心を踊らせたわけだけれど、蓋を開けてみると、それ以上に感心したのは、近くの別会場で行われていた「More than festival」というレクチャーのシリーズだった。ダイバーシティ、インクルージョン、スピリチュアリティ、ウェルネスなど、ミレニアルたちの関心が高いテーマについて、真剣なディスカッションが行われていた。めっちゃ勉強になった。そして、ディーパック・チョプラの講義を聞いた。自分という存在についての考え方が根底から変わるような衝撃を受けた。終わったあと、長い拍手が続いた。
夜、ファレル&フレンズのライブに行った。飛び入り出演すると噂だったJさまが登場し、ミッシー、デディ、スヌープ、バスタと、どんどん往年のスターが登場して、久々に大興奮した。ちなみにこのイベントは通し3夜+2日にわたるレクチャーシリーズすべてセットで150ドルという驚異的な安さで、あっという間にソールドアウトになったという。完全に、地元のコミュニティと若いファンたちのためのイベントだった。
この日、ニューヨーク証券取引所に史上二人目の黒人女性として取引をするローレン・シモンズや、ネイティブ・アメリカンのDee Jay Two Bears、今回のイベントのオーガナイザーが参加するパネル・ディスカッションに出席した。大きなハンデを抱えながら克服して出世したり、自分がマイノリティである職場環境に身を置いてきた人たちばかりだった。
ファレルは、参加者たちに「自分の the other性を持ってきてほしい」と言ったそうである。the otherというのは、要は、マジョリティに属さない部分のことである。この世の中のいろんな場所に「馴染めない」「属せない」という気持ちを抱えている人たちがいる。けれど、それは逆手につかえば強みになる。この人たちは、それを逆に武器にして戦い、それで勝ってきた人たちなのであった。
彼らのメッセージは明確だった。自分が異質な存在であることはパワーである。何かを成し遂げたかったら、自分だけが異質の存在であることを恐れてはいけない。むしろ、それを使ってそれまで存在しなかった新しいことをやるべきである。
備忘録:ファレル、Something in the waterフェスティバルで、過去存在したラッパー全員をステージにあげる(Rolling Stone)