台北にて2
前夜、遅くまで呑んだけれど、早起きして野菜饅頭を目指して朝市へ。いんげんがごっそり入った野菜饅頭を食べたら元気が出た。その後、トーファ(豆花)を食べて、青木由香さんに「3月いっぱいで閉店」の家庭料理の店に連れて行ってもらった。卵とトマトを炒めただけのものが涙が出るほどおいしくて、家でやってみようと思ったけれど、きっとこんなふうにはなるまい。そのあと東京からきた友達とまたトーファを食べた。日に2トーファ!そしてさらにまた一人でもりもり歩いた。リノベ物件の商業施設をいくつかチェックし、前夜忘れ物をしたマッサージ店に寄って、裏道の屋台で夕食を食べた。
知らない街を一人で歩くのが大好きだ。大都会なのにわさわさと生えている見たことのない木々や道を歩く人たちの顔を見ながら。途中、何度かタクシーに乗った。英語はほとんど通じない。日本語のほうが通じる。歴史を考えれば当然のことなのだろうけれど、自分にとっては不思議な感覚。地図と身振り手振りと彼らが知っている少しの日本語でコミュニケーションはできる。袖が触れ合うくらいのやりとりしかしなかったとはいえ、誰もが陽気で優しかった。この優しさはなんだ?と思ってしまうくらいに。
どこへ行っても、都会には一定のギスギスした感じがある。それぞれの街に暮らす人たちのストレスが空気中に漂っている。台北ではそれが薄い気がした。待ちゆく人や電車に乗る人たちの表情を観察した。
そういえば、青木由香さんは、「私がこの街を好きになった理由は人にある」と言っていた。2泊の弾丸旅でも、それがちょっとだけわかった気がする。もっとこの街のことを知りたい、と思った。沖縄→台北→バンコクが定期ルートになったらいいなあ。
Twitterのアプリを開くと、台湾のニュースが英語で流れてきた。台北にいるから流れてきたのかと思ったが、ツイートの数から判断するに、そうではなくてたまたまのタイミングだったみたいだ。
戦後から冷戦にかけて戦勝国がひいた世界の安全保障地図が、若干、古くなってきたのだろう。トランプ大統領が安全保障の負担の増額を呼びかけている。とはいえ、アジアも、この島の人たちも、もう何十年もその地図に沿って生きてきた。中国はまだ「統一」を提唱している。アメリカでも中国系のロビーが統一をプッシュしているようだ。どう変わるのだとしても、この陽気で優しい人たちが不幸にならない、平和な方法でそれが行われることを心から望む。
備忘録:狙われる台湾──中国軍から甘い呼びかけ(Newsweek Japan)