アジア人と人種差別是正問題
うちのブロックで今やってる解体工事のそばを通りかかったら、珍しく外壁が開いていて中が見えたので、許可を得て写真を撮るうちに気がつけば何人かの作業員の若いラティーノの男の子に囲まれていた。一人が満面の笑みを浮かべて「おはよう!チャイニー!」と言ってきたので、苦笑いをしつつ「あのさー、いきなりチャイニーって言ったらだめなんだよ」と諭したら、「チャイニーじゃないの?」と返してきた。「That is besides the point」と言うときょとんとしている。いや、ジャパニーズだけど、まあそんなことはどうでもよくて、ラティーノ全員メキシカンやないじゃんね?というと、なんだあジャパニーズかあと笑っている。あまり伝わらなかったな。まあいっか。
ところでハーバード大学が、アジア人の入学希望者に対してシステマチックな差別をしていると訴えられている件が気になって、ずっと追いかけているのだが、これはとても複雑な問題で、アジア人のなかでも意見が分かれている。アメリカでは、人種的マイノリティを積極的に登用したり、受け入れたりするAffirmative Action(人種差別是正問題)というものがあるのだが、黒人やヒスパニックを増やすために彼らに加点すると、これが白人に対するペナルティになる、という考え方がある。アジア人は学業の成績が良い傾向にあるが、アメリカの大学の入学審査は、成績以外の要素(課外活動やパーソナリティ)なども審査対象になるので、そこで減点が行われている、という疑惑である。今もこの訴訟は進行中である。
問題は、成績の良いアジア人が減点されるということが、アファーマティブ・アクションに反対する白人たちに政治的に利用される、というところである。そもそもアファーマティブ・アクションは、白人優勢社会を是正するために考えられたものであるが、他人種に比べて学業偏重主義の傾向が強いアジア人の場合は、それがマイナスに働いてしまう。そして黒人やヒスパニックへの加点をやめたい白人社会が、これを取り沙汰して「君たち、差別されてるぞ」と言っている、という状態なのである。アファーマティブ・アクション問題は本当に難しい。学生たちの「個人としてジャッジしてくれ」と思う気持ちもわかるし、実力主義ですめば簡単だけれど、いまだに白人であることが優位に働く世の中で、アファーマティブ・アクションをやめたらどうなってしまうのか不安である。
備忘録:アファーマティブ・アクション反対の議論にまたアジア人が使われている(Vox)
#人種的マイノリティ