DiaryYumiko Sakuma

テイラー・スウィフトの政治的影響力

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テイラー・スウィフトの政治的影響力

LAから羽田に到着して税関を出たら、誰かスターを待つ人だかりができていた。I love you Taylorと書いたサインを持った女子がいたので、まさかテイラー・スウィフトかと思ったら、スーパーモデルのテイラー・ヒルであった。

テイラー・スウィフトが、11月の中間選挙で、上下院ともテネシー州の民主党の候補に投票すると発表したことが大騒ぎになっている。テイラー・スウィフトは、この騒ぎの原因となったインスタグラムのポストで「すべての人たちの権利を守る」ことを信じる民主党候補に投票すること、女性だけれども女性の権利拡大に関する法案にたびたび反対票を投じ、大企業の利益を守る立場をとってきた現職の下院議員マーシャ・ブラックバーンを批判した。

このニュースを読んだとき、一番最初に思ったのは、右翼やネオナチが怒るだろうなということだった。テネシーは保守主義、そして共和党が圧倒的に強い場所である。そしてカントリー・ミュージックもまた保守主義や共和党が強いジャンルである。テイラー・スウィフトはこれまで頑として自分が支持する政党や政治家を明らかにしなかった。それもあって極右やネオナチからも人気があった。活動の場や出自などから共和党支持なんだろうと推測していた人も、彼女が支持政党を明らかにしない理由は、保守主義のファンを遠ざけないためだと考えている人も、少なくなかっただろうと思う。

二番目に思ったのは、大勢には影響しないだろうなということだった。セレブが支持政党を発表すると大きく取り上げられるわりには数字に影響しないことも多いし、むしろ反発を受けることも多い。が、ひとつ私に見えていなかった盲点があった。それは普段だったら選挙に行かないかもしれない層と、初めて投票する若き有権者たちの存在である。テイラー・スウィフトのポストから48時間以内に、有権者登録サイトVoting.orgでは新規の有権者登録が16万9000人もあったというのだ。

そういえばニューヨーク州の民主党の準備選で、28歳の女性であるアレクサンドリア・オカシオ・コルテスが、下院でナンバー4だった現職議員を打ち負かしたときにも、勝因は普段選挙に行かない層を選挙に行かせることに成功したことにあった。そう考えると、民主党にも共和党にも強い帰属意識を持たない人たちが勝負の行方を決める可能性が高くなる。そしてそれは政治にとっても民主主義にとってもいいことなはずなのだ。選挙に行かない人たちには自分たちにそのパワーがあるということを知ってほしいものです。

備忘録:テイラー・スウィフトの民主党支持後、有権者登録が急増加(Washington Post)