熱い広告主ボイコット案件
アメリカのあんぽんたんランキングを作ったらかなり上位に入るだろうと思われる白人男の一人にタッカー・カールソンという人がいる。CNNのコメンテーターをやっていた頃からかなり保守に偏っていたが、FOXに入ってからどんどん右傾化し、右派の大スターだったビル・オライリーが失脚してからは、後釜感をめいっぱい出しつつ、ミソジニー道、レイシズム道を走っている。12月に移民がアメリカを「より汚くしている」と発言してからは、広告主の大脱走が始まったが、最近では、女性人口が男性人口より稼ぐようになったことが、ドラッグやアルコール濫用や逮捕数の増加に発展したというわけのわからん持論を展開して、これが全国放送かと呆れて口が塞がらなかった。
こういうことを言うあんぽんたんに1セントでも金を払いたいスポンサーがいることが不思議だが、一般的に広告主はあまり番組の内容に注意を払わないものらしい。とはいえ、それは一般的に、というだけのことで、こういう時代になると、出稿先のバリューも、自分のブランドの価値を左右するわけで、MediaMatters やSleeping Giantのように、ソーシャルを利用して消費者にボイコットを呼びかけ、せっせとスポンサー企業にプレッシャーをかける人たちのおかげで、運動は効果を発揮している。26社が広告を取り下げたというのだ。企業にも政治的スタンスが求められている時代なのだろう。
となると右派は、広告主のボイコットは検閲だと、これまた検閲の意味をねじまげてぶーすか言っているわけであるが、企業にだって何にお金払うか選ぶ権利あるよね、当然。そして消費者には、自分が利用するブランドにプレッシャーをかける権利がある。そもそもアメリカは、イギリスに対するボイコットで始まった国ではないですか。
Yumiko Sakuma