先の金融危機から10年

リーマンショックに起因する金融危機の発端からちょうど10年が経った。そしてこのところ、「バブルそろそろはじけるか」というトーンの記事を見ることが増えた。政治的に不人気な大統領の支持率を辛うじて支えているのは景気や市場の上昇だけれども、くすぶっている懸念事項はミレニアル世代の学生ローンである。2016年の選挙前に取材したミレニアル世代の多くは、一番の争点として「学生ローンの問題」と言った。高いアメリカの私立大学に通うために多くの学生が、卒業後に返済する学生ローンに依存する。卒業後の収入がわかる前にコミットする借金に、利率の高い学生ローンの返済に苦しむ学生は少なくない(一説には全体の3割とも言われる)。学生ローンの焦げ付き問題は、これまでも議論されてきたが、議会では効果的な対策が取られないままどんどん時間が経ち、トランプ政権は、学生ローン絡みの金融機関や大学に対する規制を緩和しようとしている。当然のことながら学生ローンも金融商品で、焦げ付きが増えれば市場を脅かす。今、心配されているのはこのことだ。このところ、学生ローンがヤバいという警鐘はいろんなところで鳴らされている。11月の中間選挙の争点として言及されることも多い。このタイミングでバブルがはじけたらどうなるのだろう。

ニューヨークの知事選に向けた民主党の予備選で、左派からでてきたシンシア・ニクソンは結局、大差で負けた。けれど彼女の敗北演説が素晴らしかった。次の選挙でブルーウェーブ(左派・民主党の躍進)が予想されているが、政府からのお墨付きをもらった学府たちががっぽり儲けるのを横目に、借金を抱えて苦しむミレニアルたちが引っ張っていくのだと思う。

備忘録:金融危機がやってくる。何に注意すべきか(The New York Times)