IssuesYumiko Sakuma

新たな住宅危機

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新たな住宅危機

クリスマスの夜は、最後に寄ったジュディの家のカウチで寝てしまい、朝起きて一緒に散歩に出た。ジュディの家は、数ブロック先の、グリーンポイントの北端にあるアーティスト・ロフトである。ニューヨークにはきわめて複雑なロフト法なるものがあって、ジュディのビルは、ずいぶん前に住民の集団が大家と法的な了解を取り付けていて、その存在自体が保護されている。が、ジュディの建物を囲むように新築コンドミニアムが建ち、道の向かいでは高級高層コンドミニアムの建設が激しく始まっている。新しい公園もできた。ニューヨーク市は、ミドルクラスの住居不足への対処として、市が助成金を出す新築物件の一部をプールし、一定のレヴェル以下の所得の家族に安く貸し出している。つまり高級新築ビルの一部に、他の住民に比べて所得の低い家族が混じって住むということになる。そしてそんな新たな現実が、また新たなドラマを作り出している。きわめてニューヨーク的だ。ちなみにジュディのストリート向こうの新規物件は今のところガラガラだ。来年のL線停止を見込んで、北ブルックリンの家賃は少しだけ落ちている。供給過剰もきっと要因のひとつだろう。

ニューヨークの物件不足と、アフォーダビリティの低下(つまり地価の高騰)はいよいよ深刻らしい。ミドルクラスにはどんどん住みづらい場所になる。ロサンゼルスやサンフランシスコも、同様の問題を抱えている。先の住宅市場の危機からちょうど10年が経った。そして今また住宅問題が経済のひとつの大きなリスク要因としてくすぶっている。もうひとつ大きなリスクに、ミレニアルたちの学生ローン問題がある。そしてそのふたつは並行して存在している。2019年は難しい年になるかもしれない。

備忘録:住宅危機へのソリューション(Forbes)