Yumiko Sakuma

今年のプライドマーチ

Yumiko Sakuma
今年のプライドマーチ

8/6に文藝春秋から「真面目にマリファナの話をしよう」が出る関係で、またここのところ溜まった仕事のせいで、日記がしばらく更新できていなかった。去年、1年間毎日更新できたことが奇跡に思えてきたよ。楽しみにしてくださっている人、すみません。

一週間だけニューヨークに帰った。山に行き、日曜日のプライド・パレードに参加するために山を降りた。プライド・パレードは、いろんなグループが次々と街を練り歩く。私は、#thankgodforabortionというグループに参加して歩くことになっていたのだが、どうやら今年は参加者が多すぎたからか(400万人!)、途中からマーチがまったく動かなくなった。2時間半待ったけれど、動く気配がまったくないので無念の思いで諦めて離脱した。

プライド・パレードというものは、50年前に、ゲイ人口を日常的にハラスしていたNYPDがゲイクラブに踏み込んだことで起きたストーンウォール暴動を受けて始まったイベントである。50年かけて大きくなり、今となっては、多くの大企業がスポンサーしたり、神輿を担いだり、ニューヨークを代表する風物詩となって大盛り上がりである。

ところがこれだけメインストリーム化すると、もともとのルーツと離れすぎているのではないかという声があがる。LGBTQコミュニティの中にも分断が見え始めて、今年は、より政治的なアクティビストたちがメインのイベントから離脱してReclaimというマーチを開催した。彼らの主張にも一理ある。大企業がマーケティングのためにスポンサーとなりながら、LGBTQ従業員の権利を保証していないということを「ピンク・ウォッシュ」というらしいのだが、そういうことを批判しているのである。しかしinclusionということを唄いながら、企業を取り込まなくてどうするのだという批判にも一理ある。

社会運動というものは大きくなる過程でこういうことが必ず起きる。みんな、それぞれのリアリティや考えがあるのだから、これだけ大きな人口が一丸となれないのは、当然の流れといえばそうである。そんなことを考えながら帰途についた。

備忘録:統合か革命か。LGBTQアクティビストたちがプライドの趣旨をめぐって分裂(NBC News)