Yumiko Sakuma

アメリカのドラッグ問題

Yumiko Sakuma
アメリカのドラッグ問題

ニューヨークに戻って何日か経ったときに気がついたことがある。白昼、道を歩いていて、明らかにドラッグ中毒者と思われる人たちが増えたような気がしたのである。それも、ちょっと前まで普通に生活していたことを思わせるようなタイプの人たちだ。

調べてみると、意外にも最新のデータによると、オーヴァードース(ドラッグの過剰摂取)による死は、今、久しぶりに減少傾向にあるのだという。目に見えて多いような気がしたのは夏だからだろうか。

これまでも日記にたびたびオピオイド・クライシス、そしてそこから派生したヘロイン・クライシスについて書いてきたけれども、最近、立て続けに法廷でドラッグメーカーに対する賠償命令が出ている。90年代後半に始まり、この何年間かでものすごく苛烈になったオピオイド問題に、ようやく何らかのおとしまえが付けられ始めた感がある。

ところで、ポルトガルに取材に行きたいと思っている。ポルトガルは、2001年に、ドラッグというものをすべて非犯罪化した。10人に1人がヘロイン中毒だったという状況から。そして、ポルトガルは、注射針によるHIV感染やオーバードースによる死亡件数を劇的に減らすことに成功した。今、ドラッグ問題が深刻な場所では、依存症には懲罰ではなく、治療で対処するべきだとの考え方が広まりつつある。シアトルも、そちらに舵を切ったようだ。

これはとても画期的なことである。取材に行きたいけれど、この取材をさせてくれる媒体があるかどうかはわからない(どこかあれば連絡ください)。日本では少なくとも、ドラッグは、一部の特殊な人(芸能人など)が誘惑に負けて手を染めてしまうもので、人口の総数から考えると大した社会問題ではないように見える。

一方で、アルコール問題は、ほとんど問題にならない。先進国で、あんなふうに、大の大人が酩酊して転がっているような国はほかにないよ。

備忘録:シアトルは、ドラッグ戦争をいかにしてやめるかを解明した(The New York Times)

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